処遇改善等加算に関するご相談の中で、特に多く寄せられるのが「誰が対象職員に該当するのか」という点です。職種名や雇用形態、勤務時間の違いにより取扱いが分かれる場面も多く、制度の趣旨や通知の文言だけでは判断が難しいケースが少なくありません。

対象職員の解釈を誤ると、本来支給すべき職員への配分漏れや、逆に制度要件を満たさない支給を行ってしまうおそれがあり、実地指導や監査において指摘を受けやすいポイントでもあります。そのため、「前年度からの慣例」や「他園の運用」をそのまま踏襲するのではなく、制度上の位置づけを正確に理解した上での判断が求められます。

本FAQでは、処遇改善等加算における「対象職員」の考え方について、関係法令・国通知の趣旨を踏まえながら、実務上特に判断に迷いやすい質問を中心に整理しています。保育士・看護師・事務職員・非常勤職員等、それぞれの立場で生じやすい疑問について、制度運用の実態を踏まえた形で解説しています。

日々の施設運営や書類作成、監査対応において、「この職員は対象になるのか」と迷った際の確認資料として、本ページをご活用いただければ幸いです。


Q1.処遇改善等加算の区分1・区分2による賃金の改善は、保育士や幼稚園教諭だけが対象になるのでしょうか。

A1.保育士や幼稚園教諭だけでなく、事務職員、調理員、栄養士やスクールバスの運転手等を含め、通常の教育・保育に従事するすべての職員(非常勤職員含む)が対象になります。


Q2.処遇改善等加算の区分3による賃金の改善は、すべての職員(非常勤職員も含む)が対象になるのでしょうか。

A2.区分3は、リーダー的な役割などを果たしている中堅の保育士等の専門性の向上を図りつつ、キャリアアップの仕組みを構築するためのものです。そのため、区分3による賃金の改善は、原則として(※)処遇改善等加算通知第2の3の(1)のⅰ「副主任保育士等」及びⅱ「職務分野別リーダー等」としています。なお、上記に該当する場合には、事務職員、調理員、栄養士やスクールバスの運転手等であっても、また、非常勤職員であっても、賃金の改善の対象とすることを妨げるものではありません。
(※)第2の3の(2)の(注2)のとおり、「改善後の副主任保育士等の賃金が園長以外の管理職(略)の賃金を上回ることとなる場合など賃金のバランス等を踏まえて必要な場合」には、当該園長以外の管理職も対象になります。


Q3.処遇改善等加算通知の第2の3の(2)の(注2)において、「職員の経験年数、技能、給与等の実態を踏まえ、当該施設・事業所において必要と認める場合には、職務分野別リーダー等に対して区分3-①による賃金の改善を行うことができる。」とされています。ここでいう「職務分野別リーダー等」は、第2の3の(1)のⅰからⅲの「別に定める研修」を修了しておらず、年度途中に修了見込みがなくてもよいという理解で良いでしょうか。

A3.施設・事業所において必要と認める場合に、職務分野別リーダー等に対して、区分3-①による賃金の改善を行う場合、当該職務分野別リーダー等は、必ずしも区分3-①で求めている研修を修了している又は修了見込みである必要はありませんが、第2の3の(1)のⅱの「別に定める研修」を修了している又は修了見込みである必要はあります。


Q4.処遇改善等加算Ⅱでは、「賃金バランス等を踏まえて必要な場合には、幼稚園及び認定こども園の副園長、教頭及び主幹教諭等並びに保育所等の主任保育士に対して、「5千円以上4万円未満の範囲内」で賃金改善を行うことが可能」となっていましたが、この場合、主任保育士等には研修修了要件がかからない旨の取り扱いが示されています。区分3における賃金バランス等を踏まえた取扱いでは、主任保育士等であっても、研修を修了している又は修了見込みである必要があるのでしょうか。

A4.処遇改善等加算通知の第2の3の(2)の(注2)の取り扱いにより、賃金バランス等を踏まえ主任保育士等に対して区分3-①による賃金の改善を行う場合、必ずしも当該主任保育士等は研修を修了している又は修了見込みである必要はありません。本取扱いは、主任保育士等より副主任保育士等の賃金の方が高くなり賃金バランスが崩れてしまう結果として副主任保育士等に対して賃金の改善ができなくことを避けるため、必ずしも研修の修了を求めていません。


Q5.加算Ⅲでは、法人役員を兼務する施設長の賃金の改善はできませんでしたが、区分2では、法人役員を兼務する施設長の賃金の改善をしてもよいという理解で良いでしょうか。

A5.お見込みのとおりです。加算Ⅰ(賃金改善要件分)と加算Ⅲを区分2として見直すに当たり、通常の教育・保育に従事する職員として、施設・事業所が定めた給与規程に基づき、給与が支払われている施設長であれば、法人役員を兼務していても、加算の対象とするよう、取扱いの統一化を図ったものです。


Q6.地方単独事業による加配職員や施設が独自に加配している職員は、処遇改善の対象となるのでしょうか。

A6.実際に賃金改善を行うに当たっては、地方単独事業や施設が独自に加配している職員についても、通常の教育・保育に従事している場合には対象とすることができます。


Q7.派遣職員は処遇改善の対象となるのでしょうか。

A7.派遣職員も対象とすることができますが、その場合、派遣元事業所を通じて賃金改善が確実に行われることを確認する必要があります。


Q8.育児休業を取得予定の職員は処遇改善の対象となるのでしょうか。

A8.対象となります。ただし、育児休業中に給与が支払われていない場合は、その期間に係る改善額は0円となります。


Q9.賃金改善の対象としている職員が育児休業を取得した場合の賃金改善額はどのように算定するのでしょうか。

A9.通常、育児休業期間中は給与が支払われないため、この場合の育児休業取得者に係る賃金改善額はゼロになります。このため、必要に応じて、代理の職員の発令等を行い、当該職員に対して賃金改善を行うことが考えられます。


Q10.区分3において経験年数は「概ね7年以上」「概ね3年以上」とされていますが、この「概ね」の考え方をお示しください。

A10.区分3は、保育士等のキャリアアップの仕組みを構築するため、一定の技能・経験を有する者に、その技能・経験に応じた処遇改善を行うことを本旨としています。したがって、お示ししている経験年数は、副主任保育士等及び職務分野別リーダーに相当する職位の職員が通常有すると考えられる経験年数を「目安」としてお示ししているものであり、必ずしも、お示ししている経験年数がなければ賃金改善の対象とすることができないものではありません。また、お示ししている経験年数の職員に一律に賃金改善を行わなければならないこともありません。各園の職員の構成や状況を踏まえて、発令される職位、職責又は職務内容等に応じて、施設の判断で適切な処遇改善を行っていただきますようお願いします。


Q11.区分3において年度途中に採用した職員や研修修了要件を満たす職員等について、処遇改善の加算対象とすることはできるのでしょうか。

A11.区分3は年度途中に採用した職員や、新たに発令を受け職位につく職員等に対しても、加算対象とすることが可能です。


処遇改善等加算における「対象職員」の判断は、単純な職種区分だけで結論が出るものではなく、雇用形態、業務内容、配置状況、施設種別等を総合的に見て判断する必要がある制度です。そのため、同じような体制に見える施設であっても、運用や判断が異なるケースが生じやすい点には注意が必要です。

本FAQで取り上げた内容は、国の通知や制度趣旨を踏まえた一般的な考え方を整理したものですが、個々の施設の実態によって判断が分かれる場面も少なくありません。特に、非常勤職員や兼務職員、事務職員等の取扱いについては、慎重な確認が求められます。

処遇改善等加算は、正しく理解し、適切に運用することで、職員の処遇向上と施設運営の安定の双方につながる制度です。もし制度解釈や対象職員の判断に迷われた場合には、早い段階で専門家に確認することで、将来的な是正対応や返還リスクを防ぐことにもつながります。

桑園みらい行政書士事務所では、保育・児童福祉分野に特化した行政書士として、制度趣旨や最新の通知を踏まえ、現場実務に即した形での個別確認・ご相談対応を行っております。
処遇改善等加算の対象職員判断や運用に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

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出典:こども家庭庁HP 処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/b4d28e55/20251010_policies_kokoseido_149.pdf

参考:こども家庭庁HP 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(最終改正令和7年9月2日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/a52998ad/20250905_policies_kokoseido_138.pdf