園の安定的な運営や、保育士の皆様の負担軽減・処遇改善を図る上で欠かせない公定価格の加算制度。中でも「1歳児配置改善加算」については、保育の質向上を目指す多くの施設様から関心が寄せられています。しかし、要件が細かく規定されているため、「自園が対象になるのか分からない」「要件の解釈がこれで合っているのか不安」といったお悩みの声をよく耳にします。
そこで本記事では、こども家庭庁が公表している「公定価格に関するFAQ(第28版)」を読み解き、1歳児配置改善加算の算定要件に関するよくある7つの質問(Q&A)をピックアップして分かりやすく解説します。
適切な加算の取得は、より良い保育環境の整備に直結します。ぜひ本記事を参考に、自園の加算適用の見直しや確認にお役立てください。
- Q要件にある「保育に係る計画・記録に関する機能」の注意書きに、「職員間で情報の共有や更新を行うことができる機能を有すること」とありますが、具体的にどのような状態であれば要件を満たしますか?
- A
複数のパソコンやタブレット等の端末から同時にシステムへアクセスでき、かつ、情報の共有や更新を行う端末が限定されていない状態であれば要件を満たします。「特定のパソコンからしか記録できない」といったシステムではなく、職員の皆様がそれぞれの端末から同時に書き込みや確認ができることがポイントです。
- Q「保護者との連絡に関する機能」について、「ICTを介さない個別メール・アプリにより保護者との連絡を行っている場合を除く」とありますが、どのようなツールが対象となりますか?
- A
ICT連絡ツールを導入し、当該ICT連絡ツールから保護者(一斉又は該当する保護者)と双方向のやり取りを行うことが可能なものを対象と想定しています。単に、園のHPやメール、SNSを介して、職員個人が保護者に一斉又は該当する保護者に連絡を行うことは対象外です。施設・事業所の職員全体で、保護者と連絡をとるツールを想定しています。
なお、ICT連絡ツールを個別に導入する必要は必ずしもなく、当該機能と他の機能をあわせて有するICTツールを有していれば要件を満たしたこととなります。
- Qその他の要件はクリアしているものの、ICTの導入要件のみ満たしていませんでした。年度の途中でICTツールを導入し要件を満たした場合、いつから加算が認められますか?
- A
要件を満たした月の「翌月」から加算の対象(認定)となります。(例:10月中にICTシステムを導入してすべての要件を満たした場合、11月分から加算の対象となります)
- Q職員の「平均経験年数10年以上」という要件について、原則は4月1日時点での判断とのことですが、年度途中の採用や異動で要件を満たした場合は翌月から加算されると規定されています。年度内に異動等があるたびに、毎回要件を満たしているか再確認が必要ですか?
- A
すでに加算の認定を受けている施設であれば、年度途中の異動等で平均経験年数に変動があっても、その都度自治体での確認を受ける必要は原則としてありません。 ただし、「これまで平均経験年数要件を満たしておらず加算対象外だった施設」が、職員の採用や異動によって新たに要件を満たした場合は、施設から自治体へ報告を行い、確認を受けていただく必要があります(確認後、翌月から加算適用となります)。
- Q業務においてICTの活用を進めており、以下の①及び②~④のいずれか1つの機能以上の機器を導入し、業務に活用していること。とありますが、複数機器を導入し、Aシステムで「園児の登園及び降園の管理に関する機能」、Bシステムで「キャッシュレス決済に関する機能」をもつ場合は要件を満たしますか
- A
複数の機器を導入し、Aシステムで「園児の登園及び降園の管理に関する機能」、Bシステムで「キャッシュレス決済に関する機能」を有している場合は要件を満たすこととなります。
- Q「園児の登園及び降園の管理に関する機能」について、現在タイムカード(紙)で打刻して管理していますが、これは要件を満たしますか?
- A
紙のタイムカードに打刻するだけの運用では、本要件には該当しません。 要件を満たすには、ICカードリーダーやタブレット等を用いて打刻し、登園・降園した時刻が「電子的に」システム上に記録される機能をもった機器を使用する必要があります。
- Q要件のうち「キャッシュレス決済に関する機能」について、銀行による口座振替はキャッシュレス決済に該当しますか?
- A
クレジットカード、交通系電子マネーやQRコード決済などのお札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うものを想定しており、銀行が行う口座振替サービスを利用することは本要件のキャッシュレス決済に関する機能には該当しません。
いかがでしたでしょうか。今回は、こども家庭庁の「公定価格に関するFAQ(第28版)」に基づき、1歳児配置改善加算に関する7つのよくある質問について解説いたしました。
1歳児配置改善加算は、要件を満たしているにもかかわらず、制度の複雑さから申請をためらってしまったり、要件を見落としてしまったりするケースが少なくありません。適切な加算を取得することは、保育現場に人員的なゆとりを生み、結果として子どもたちへのより質の高い保育の提供へとつながる非常に重要な要素です。
とはいえ、「日々の業務に追われて、複雑な公定価格の算定要件をじっくり確認する時間がない」「自治体への確認や申請手続きに不安がある」という施設長様・法人ご担当者様も多いのではないでしょうか。
桑園みらい行政書士事務所では、保育所や認定こども園に対する公定価格の加算取得サポートや、行政手続きの代行・コンサルティングを承っております。今回解説した1歳児配置改善加算をはじめ、処遇改善等加算に関する疑問や、施設運営に関するお困りごとがございましたら、どうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。専門家として、保育施設の円滑な運営を全力でサポートいたします。